宅建業を営むための3つの要件

宅建業を営むうえで、クリアしなければならない要素には、大まかに分けて「人的要件」「事務所要件」「営業保証金」の3つがあります。
ここではそれら3つの要件を見ていきましょう。

人的要件

人的要件として、大別すると以下の2つがあります。

 

@欠格事由に該当しないこと
会社の役員や個人事業主等が欠格事由に該当しないこと。
A専任の宅地建物取引士を置くこと
営業所ごとに従事者5名につき1名以上の専任の宅地建物取引士を置く。

 

それではその2つについて詳しく見ていきましょう。

 

欠格事項

  • 宅建業の免許を以前に取り消されたことがある。
  • 宅建業の免許を取り消されそうになり、取り消し前に廃業したことがある。
  • 禁固以上の刑や、宅地建物取引業法違反等により、罰金の刑に処されたことがある。
  • 免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して何らかの注意を受けたことがある。
  • 役員や政令使用人に成年被後見人、保佐人はいる。
  • 役員や政令使用人に破産手続きの開始決定を受けている者はいる。
  • 役員や政令使用人に暴力団の構成員はいる。

 

これら一つでも当てはまると要件を満たせず、申請できません。

 

宅地建物取引士の専任性・常勤性

  • 有効な宅地建物取引士証がある。
  • 宅地建物取引士の有効期限が3ヵ月以上ある。
  • 専任の宅建士は他の法人の代表取締役や常勤役員ではない。
  • 専任の宅建士は公務員ではない。
  • 専任の宅建士はパートやアルバイトではない。
  • 専任の宅建士は通勤時間は2時間以内である。
  • 専任の宅建士は今回申請する会社の監査役ではない。
  • 専任の宅建士は宅地建物取引士資格登録簿の勤務先は空欄になっている。
  • 宅建士は他の会社の代表者ではない。
  • 宅建士は他の会社の従業員(パート・アルバイトを含む)でなない。
  • 宅建士は別場所にある事務所で司法書士・行政書士などの士業として業務していない。

 

これら全てを満たす必要があります。

事務所要件

宅建業の事務所は営業活動の場所として、継続的に使用できるものである必要があり、一般的に見て事務所として認識される程度の形態を備えたものであることが求められます。
通常の賃貸事務所であれば問題になるケースは少ないですが、個人事業主で自宅の一室を事務所にする場合は注意が必要です。

 

事務所要件

  • 事務所はテントや移動車など仮説的な建物ではない。
  • 事務所は365日、24時間いつでも出入りできる。
  • 事務所は他の部屋、オフィスなどから独立した区画である。
  • 事務所は専用の出入口(ドア)があり、他の部屋・オフィスを経由せず出入りできる。
  • 事務所には事務スペース及び来客応対用の応接スペースがある。
  • 事務所は来客の出入りが認められている。

これら全てを満たす必要があります。

営業保証金

県庁の担当課へ営業許可の申請をし事務所チェックが行われ、問題が無ければ後日免許の通知が郵送されます。そしてその免許通知の日から3ヵ月以内に、@営業業保証金を供託するか、A宅建業保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付するかを選択しなければいけません。

 

@営業保証金を供託する場合
本店事務所のみの営業であれば1000万円、他に支店事務所を設置するのであれば1事務所ごとに500万円の追加になります。
本店事務所   1000万円
支店事務所    500万円
供託する場所は事務所の管轄の供託所で、法務局本局になります。

 

供託時に必要なもの

  • 供託物(現金・国債などの有価証券)
  • 申請書の捺印に使用した印鑑
  • 免許の通知書
  • その他供託所の求めるもの(法人の場合は資格証明書、代理人の場合は委任状)

営業保証金の供託が済んだら、県庁の担当課に免許証の受取りに行きます。

 

その際持参するものは次のとおりです。

  • 免許通知ハガキ
  • 供託正本の原本と写し
  • 営業保証金供託済届出書(正副計2部)
  • 宅地建物取引主任者資格登録簿変更登録申請書(正副計2部)
  • 認印

全て完了で営業許可証を受け取り、晴れて営業スタートです。

 

A宅建業保証協会に加入する場合
上記記載の通り、営業保証金を供託するには1000万円以上必要で非常に大きな負担になります。そこでもう一つのルートとして宅建業保証協会に入会し弁済業務保証金分担金を納付するという方法があります。大抵の営業者がこの方法を採用しています。
宅建業保証協会に加入するには、次のいずれかに加入します。

いずれの団体も加入に際して、弁済業務保証金分担金以外に入会金や会費等の加入費用が必要です。
弁済業務保証金分担金の額は次のとおりです。
本店事務所  60万円
支店事務所  30万円
また協会に加入するのに入会金や会費があり、総額は両協会とも約150万円ほどの金額を用意する必要があります。
弁済業務保証金分担金の納付が済んだら、県庁担当課に免許証の受取りに行きます。

 

その際持参するものは次のとおりです。

  • 免許通知ハガキ
  • 弁済業務保証金分担金納付書(納付証明書)原本と写し
  • 宅地建物取引主任者資格登録簿変更登録申請書(正副計2部)
  • 認印

全て完了で営業許可証を受け取り、晴れて営業スタートです。

 

営業保証金または弁済業務保証金分担金は廃業時に戻ってきます。ですが協会入会時の入会金や年会費等は戻ってきません。また保証金の供託に比べ保証協会への加入は時間と手間もかかりますので、開業時に1000万円を用意できる余裕があるのであれば営業保証金の供託という方法を検討してみても良いかもしれません。